映画① 「パニック症の人は見てはいけない!」
「パニック症の人は見てはいけない!」
パニック障害という病気は脳内のノルアドレナリン過剰分泌によって起きる激しい動悸や息苦しさが、起きた状況に誤認されるという性質があります。もし満員電車に乗っている時にこの発作に初めて襲われるとこれ以降電車に乗るのが怖くなるのも、起きた状況を脳が学習してしまうという、ヒトの高度な脳のメカニズムによって起きるとされています。すると治療法は、最初の状況を経験しても発作が起きないことを再学習すればよいわけですから、薬で発作を抑えつつ行動訓練するという行動療法が有効だと考えられています。
ところでパニック症状を持つ人にはオススメしない映画があります。「サンクタム」という映画がそれです。洞窟探検チームが世界最大の洞窟に挑みますが、台風の直撃で洞窟の水かさが増し閉じ込められた一行が未知のルートを探し決死の脱出に挑むというストーリーです。刻々と迫ってくる水や減っていく酸素、閉じ込められた絶望感があまりにリアルすぎて息苦しくなります。「ターミネーター」や「アバター」のジェームズ・キャメロン監督が制作に関わっているため映像のこだわりようが半端ない。あまりによくできすぎて“見てはいけない”一本でしょう。同様の映画に「ザ・コア」もオススメ(しません)です。
パニック障害は「ここから出られない」という錯覚から起きる心理的な閉所恐怖症です。よくできた映画だからこそ、まさに閉塞感を疑似体験するのでしょうね。見終わった後は外の空気を吸って「あぁ、出られて良かった」と安心したいものです。