映画③「不安と恐怖、トラウマ必至のホラー映画」

不安と恐怖
似ているようでこの両者は大きく違います。医学的には不安は「対象のない恐怖」と云われ、本人にも何が怖いのか分かっていません。するとどうやって身を守ったらいいのか、何に注意して何から逃げればいいのか分からずひどく苦しいものです。

皆さんはホラー映画を見た時、前半は怖いのに後半なんだか怖くなくなってしまう経験はないでしょうか。主人公を怖がらせていたお化けかモンスターの正体が分かり興冷めしてしまうアレです。恐怖の正体が分からない前半部では、画面にいつ何が出てくるか分からないので、正体不明の怖れに常に緊張が解けません。不安とはこのような状態を指します。見る人を怖がらせようとするホラー映画の手法は、前半部ではお化けの正体を見せずに観客の不安を掻き立てようとするからです。

これに対し恐怖とは、対象の分かっている怖れです。恐怖症という病気がありますが、必ず「〇〇恐怖症」との病名がつきます。恐怖症は本人に何が怖いか分かっているので、対処も不可能ではありません。生物には「慣れる」という現象があるため、安全な状況で繰り返し恐怖を経験することで恐怖症を克服することができます。

つまり不安に苦しんでいる人は、まず何が自分を脅かしているかの正体を発見することが、心の平安を取り戻す第一歩になるのです。

ところで私が悪夢を見るほど観たことを後悔した史上最恐の恐怖映画「女優霊(1996年 監督;中田秀夫)」だけは慣れないので絶対にオススメしません。