映画④「子供の心を知る映画」

子供はどんな世界に住んでいるのか。その時期を必ず生きてきたにもかかわらず、我々大人たちはいつしかそれを忘れてしまうようです。それ故に映画や芸術では興味をかき立てる題材のようで、子供が主人公の映画はたくさんあります。ただ、そのほとんどは「大人から想像した子供の世界」を描いたもので、真に子供の心を描いているかというと、なんとなく予定調和の感は否めません。しかしその中でも「ラブリーボーン(2009)」は他のどれとも一線を画する映画です。お話しは少し残酷で、主人公の女の子はある事件に遭って映画の冒頭に亡くなってしまいます。物語は、その死んでしまった女の子から見た家族や友人の姿を追って進んでいきます。死んでしまった女の子には、もう自分の将来に望めるものはありませんがある願いを親に託しながら、そして本当にささやかな自分の願いもまだ諦めてはいません。私は仕事柄多くの子供さんたちと話す機会が多いのですが、子供ってこんなことを考えているのだなと実感させられる映画です。心を打たれることにおいては、見るには少し勇気のいる映画なのでご注意を。