診療のご案内
当院の特色
正しい診断と見立て
診療で大切なのは正しい診断とその後の見立てです。精神医学の観点だけでなく精神分析的視点から病を考え、ストレスによって一時的に心身が弱った状態と神経の病気とをきちんと区別し、薬を使うべきか休養を優先すべきか、あるいは過剰な投薬より環境や心構えを変えるべきかをアドバイスいたします。
リハビリテーション・リワークのためのショートケア完備
治療によって神経や心が快方に向かってもすぐに仕事や学校、日常生活に戻れるとは限りません。長い闘病生活によって、元々持っていた健康さをすり減らしていることがあるからです。このためショートケア訓練を行い心身のバランスを取り戻す通所リハビリテーション、仕事に復帰するための思考力や判断能力を養うリワーク支援を行っています。
スポーツと漢方-健康さを保つアドバイス
病気の症状を治すのは精神安定剤ばかりではありません。漢方薬によって心身のバランスを整えたり、スポーツを積極的に取り入れた運動指導など、病気に負けない健康さを取り戻すお手伝いを行っています。
女性メンタルヘルス外来
女性特有の病気
女性特有の病気というものがあるのでしょうか。実は統計的には女性がうつ病に罹りやすい確率は男性の2倍であることが古くから知られていますし、女性特有の生理周期から生理前後に気分がイライラしたり落ち込んだりする状態が近年やっと、月経前緊張症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)や月経前不快気分障害(PMDD:Premenstrual Dysphoric Disorder)という診断名と共に『治せる病気』として注目されるようになりました。このような女性特有の体質が原因となって起きる病気だけでなく、妊娠、出産、子育てといった人生の大きな転機を迎え、心と体がその現実を受け入れられないといった心理的な悩みは、男性中心の社会ではこれまであまり注目されてはいませんでしたが、現在ではそれぞれマタニティブルー、産後うつ病、育児不安として医学的に研究されるようになりました。このような女性専門の精神科・心療内科はまだ日本では多くはありません。
院長は大学病院勤務時代に産科婦人科と連携して精神科診療に当たっていた経験もあり、女性の産中産後の不安やPMS、PMDD、更年期における精神症状の診療を行っております。
児童精神科外来
子供の病気
我が国では最近やっと子どもさんの病気を治す児童精神科が増えつつあります。
18世紀の哲学者ルソーは「子供は小さな大人ではなく、子供という固有の文化と世界を持っている」と子供特有の心の世界を初めて世に知らしめました。現代に生きる我々の感覚では当たり前のことなのですが、当時のヨーロッパでは、子供は大人に比べ未熟な心しか持っていないので精神の病気にはならないと本気で信じられていたという背景があったからです。
そして時代が流れ、児童精神医学の発展によって大人に起きる病気は全て子どもさんにも起きることが分かってきました。ただ、その出かた(表現型)は随分違います。不登校や元気のなさ、過剰な乱暴さ、引っ込み思案やこだわり、気にし過ぎなどの問題行動の背景に神経症やうつ病などの精神疾患があれば治療の可能性があります。
最近では子どもさん特有の問題として発達障害が知られるようになってきましたが、実は発達障害は大人になっても生涯続くもので子供特有の問題とはいえなくなってきたことが報告されるようになりました。
しかし早い段階でこれに気づき、治すための訓練を始めることが、後の生活の質に影響を及ぼします。
児童の発達障害
子供さんの脳神経の成長・発達には個人差があり、成長していくなかでそれが個性となってその子らしさが表れていきます。
しかし、時にこの発達に著しい偏りがあるとそれがその子の性格を超え、行動が周囲と馴染まない(落ち着かない・よく注意される・乱暴すぎる)、学習能力に大きなムラがある、他者との意思の疎通が困難、などといった困った状況に陥ることがあります。つまり発達障害とは病気ではなく、その人の生来的な性質を指しています。
従って他の病気のように、症状を完全に治したり消したりすることを目指すのではなく、より良い方向に成長する手助けが必要です。
また近年は子供さんだけでなく、成人した大人の方もこれに悩んで精神科を受診されることが増えてきました。
それほど短気な性格でもなく学生時代もごく普通に過ごしたのに、せっかく就職した会社に適応できない、仕事が上手く覚えられないという明確な理由で落ち込み、精神科を転々とするような場合です。
医学的に云う発達障害には大きく分けると「多動性発達障害」「学習障害」「広汎性発達障害」があり、改善の基本は日常生活の訓練なのですが、このうち多動性発達障害(一般にはADHDと呼ばれています)には薬で状態を改善できるものがあります。
発達障害の診断には特別な検査などはなく生活や学校での行動や適応を詳細にお尋ねすることで行います。また補助的診断として、脳機能の働きを正確に知るための知能検査として、WAIS‐Ⅲ、WISC‐Ⅳを行っています。
家族相談(自由診療)
ご本人が受診したがらない場合は、ご家族が相談に来院していただくことも可能です。
その場合、保険診療ではなく自由診療となります。
当日は来院される方の身分証明となるもの(運転免許証等)をお持ちください。
時間と料金については、料金表をご確認ください。
一般精神科外来
一般精神科として、以下の疾患を診療しております。
精神科リハビリテーション
リワークラボとは
医師とのカウンセリングや薬物療法だけでは十分に回復しない病気もあります。辛い症状のせいでよく眠れず元気がない日が長く続くと、生活リズムが乱れてしまい、健康さを取り戻すのが難しくなります。
当院では日常生活に戻るための6つのリハビリ訓練を用意しています。
ラボ(ラボラトリー)とは研究や実験を意味する言葉ですが、改めて自分の体や心を研究し直し、無理のない生活を取り戻すための「自分研究所」です。
アンジェ心療クリニックでは十分なスペースの集団療法室を備え、精神科ショートケア(3時間/回、2回/日)という枠組みで以下のような集団活動を行っています。
内容
手工芸ラボ | 細かな手作業を通して物作りの楽しさや集中力を取り戻します(出来た作品は時々院内でも販売しています)。 |
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フィジカルトライ (ヨガ)・(スポーツ) |
療養によって衰えた体力を復活させ、日常生活から仕事に復帰するための体力づくりを行います。 |
フードラボ | 自分が食べる食事を作る~飲食店で就労するまでの調理訓練と栄養の基礎知識を学びます。 |
コミュニケーションラボ | 対人関係における自然な会話や仕事も含めた社会生活で必要なコミュニケーションを仲間と共に学び練習します |
デスクワークラボ | 現在の作業能力を検査し、自分に合った負荷でパソコン訓練を中心に事務作業に特化した訓練を行います。 |
就活ラボ | 院内の訓練だけでなく、みんなで外出し作業所やハローワークなどの見学を通して就労の手続きを学んだり、時にはお散歩もする元気になるための自由な活動です。 |
集団精神療法の理論
一人でいる時は大丈夫でも、人前に出るとひどく緊張したり不安になったりする方がいます。このように、他人との対人関係の持ち方のなかに病気の原因がある場合、医師との1対1のカウンセリングだけではなく集団での治療が有効な場合があります。集団という形には個人療法では治せない病気を治す力があり、アンジェ心療クリニックで行う集団活動はすべて集団精神療法の理論に則って運営しています。
リワーク(復職)訓練
リ・ワークとは「仕事に戻る」という意味で、うつ病を主としたリハビリプログラムのひとつとされています。うつ病は全人口の5%という驚異的な数字で精神疾患のなかでも最も多い病気です。もちろん不治の病などではなくちゃんと治る病気なのですが、会社員の方などがうつ病になった場合、症状が軽くなったらすぐに元の職場に戻って仕事に復帰しなければならないと焦った結果、再発してしまうことがよくあります。
再発を繰り返すと「①治っても更に再発しやすくなる」「②だんだん脳の働き(認知機能)が低下していく」ことが研究によって分かっているので、治るとはいっても油断ならない病気でもあります。
ここで大切なのは「症状が軽くなる」ことと「働ける」ことは同じではないことです。
数ヶ月から、時に数年に及ぶ闘病生活によって元々持っていた健康さがすっかりすり減っていたり、同じ職場に戻ることに恐怖心を感じたり、場合によっては働くことそのものへの不安を持ち続けたりしていれば、いくら症状が良くなっても発病前と同じクオリティで働くことは難しくなりますし、再発も起こしやすくなります。
リワーク訓練はこのような方を中心に、ショートケア通所のなかで、生活リズムを整え認知機能の改善に努めるプログラムです。
心理検査
当院では、下記の心理検査を行なっております。
- WAIS-Ⅳ・WISC-Ⅴ(知能検査)
- バウムテスト
- STRAW-R
- 音読検査
- ブルドン抹消検査