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医師の紹介
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院長紹介

院長 諸江 健二

当院では、特に話しやすい雰囲気を大切にしております。
個々の患者さんの気持ちを尊重しながらお話しを伺い、両者で患者さんが良くなって行く方向に持っていきます。
帰りには、「来てよかった」、「体が軽くなった」と思っていただける診療を心がけます。

経歴 愛知医科大学 卒業
1989年 福岡大学医学部精神医学教室
2001年 川谷医院
2009年 アンジェ心療クリニック 開業
資格、役職 日本精神分析学会 認定精神療法医
日本精神神経学会 精神科専門医
日本心理劇学会 常任理事
日本スポーツ精神医学会 理事
福岡体育療法研究会 スーパーヴァイザー
国際プレイバックシアターネットワーク(ITPN)プラクティショナー
プレイバック・シアターローク代表
福岡国税局 精神科嘱託医
専門分野 精神分析学
乳幼児精神医学
集団精神療法
サイコドラマ(心理劇)
スポーツ精神医学
プレイバック・シアター
所属学会・研究会 日本精神分析学会
日本心理劇学会
日本精神神経学会
日本スポーツ精神医学会
福岡体育療法研究会
国際プレイバックシアターネットワーク(ITPN)

これまで携わった精神医療の分野

精神分析学

一般にいう「心理学」「カウンセリング」、そして現代の精神医学の基礎になった学問で、人間をこころの領域から理解します。精神医学の始まりは他の医学に比べて遅く、最初は“脳の病気”といった身体医学の延長でした。当時はまだ“こころ”に今ほどはっきりした概念がなかったからです。1896年、ウィーンに住むフロイトというユダヤ人の神経科医(今でいう神経内科医)が、世界で初めて“無意識”という概念を発見し、患者の症状を無意識の葛藤の表れだと理解したのが真の意味での精神医学の始まりだと考えられています。『無意識=こころが症状のもとになる』というこの考え方はその後世界中に広まり、その他の様々なスタイルのカウンセリングを生み出しました。

精神分析という学問は現在、病気の原因を解明する方法として、あるいは自己理解を深める方法として精神科医療のなかで広く使われています。


児童精神医学

精神疾患の多くは大人の病気を基本に考えられており、元々は子供の病気を想定したものは多くありませんでした。例えば数年前までは子供が大人のようなうつ病になるのは特別な場合だけと考えられていましたし、パーソナリティ障害という病名もパーソナリティがはっきり決定される思春期以前には診断できないというのが従来の常識でした。子供は乳児―幼児―小児―思春期という一連の成長の途上にあって常に変化しているため、病気かどうかを見分けるためには正常な子供の発育をきちんと知っている必要があります。そのために、精神医学とは別に児童精神医学という分野があるのです。

特に子供を取り巻く環境が激変している現代はAD/HD(注意欠陥/多動性障害)やアスペルガー障害といった発達障害の子供たちの成長を、どのように援助していくかが大切です。そしてさらに、子供のころ診断されなかったこれらの人たちがそれとは知らず、成人して社会に適応してくことが困難になり初めて精神科を受診するということが現代社会の課題でもあり、児童精神医学はいまや子供を専門としない精神科医にとっても必要な学問といえます。


母子医療(乳幼児精神医学)

福岡大学病院勤務時代の私の仕事は、心の病を持つ女性の妊娠、出産、子育てに関する援助と治療を産婦人科、小児科と連携しながら行っていました。特に重度の病気を持つお母さんの育児については、入院病棟に於いてこの領域で有名な「カンガルーケア」を行い成果を挙げました。また乳児の心の発達について心配を持つお母さんのための「育児相談外来」を開設し、小児科では相談しにくいうつ病や不眠症を持つお母さんの子育ての悩み相談に応じていました。

その中で次のような悩みを持つお母さんのご相談を経験しました。

育児不安

子育ても子供という人格と関わっていく対人関係のひとつですから、もともと対人関係に悩みも持つ人ではその分苦労も多いものです。赤ちゃんや幼児の心の発達に応じた接し方をアドバイスすることで悩みから開放されるお母さんもいます。他科や地域との連携が自由にできていた大学病院を離れた今は、ご家族やご本人の力をいかに引き出すかに留意しています。

妊娠、授乳中の、精神的な病気による服薬

赤ちゃんがおなかにいる時、あるいは授乳中に、お母さんが口にするものは、胎盤や母乳を介して赤ちゃんにも移行します。したがってこの時期の服薬は決して望ましいものではありません。しかし、服薬しないことで病気が悪化し、妊娠や子育てが出来なくなってしまうのも悲しいことです。この時、副作用を最低限に抑える少量の薬とカウンセリングによって母子ともに元気に過ごせるようお手伝いをしました。


集団精神療法

「集団心理」「群集心理」という言葉をみなさんもお聞きになったことがあるかも知れません。ヒトは数人以上集まると、ひとりの時とは違った目に見えない力にとらわれ行動するという性質を持っています。仲間はずれにされることを怖れ、本当は嫌いでもない子をつい苛めてしまう、という心理も集団の強い力が働いているからだと考えられています。またこれとは逆に仲間から励まされることで辛い壁を乗り越えたり、チーム一丸となることによって一人では達成できなかった成績を残した運動選手もいるでしょう。このように集団とは個人を動かす大きな力を秘めています。

その力を利用したものが集団精神療法で、よくアメリカ映画でも辛い経験をした人達が集まりトラウマを語り合うシーンなどで目にします。そのうちの一つであるサイコドラマ(心理劇)は自分の心の中にある悩みや葛藤を、治療的な集団の中で演じることで解決する行動療法の一つです。恐怖症や対人緊張など主に神経症という病気に有効です。現在や過去の自分の対人関係を、ある手順に乗っ取って演じる(ロールプレイと呼びます)ことであらたな気づきを得ます。

病気で長く職場を休んだ後に復帰しようとする会社員の場合、不安を取り除くため、実際の職場を想定した同僚や上司とのやり取りを想定しロールプレイを行う場合もあります。いずれにせよ、社会という集団で生きていくためには“仲間に助けられた”という、人と人が信頼し合う体験が大きな力になるのです。


リエゾン精神医学

“リエゾン”とは聞きなれない言葉ですが、フランス語では“連携、つなぐ”とか“橋渡し”という意味をさしており、多くの診療科が集まった総合病院などで行われている精神医療の形態の一つです。外科や内科など、主に体の病気を診る病棟に入院中に精神的な症状を起こした患者さんの治療にあたる精神科医のことで、『身体科(内科や外科)と精神科』『患者と医師』『こころと体』を文字通り“つなぐ”役割をするものです。私は平成11、12年度の二年間、福岡大学病院でこの仕事に従事していました。もともと精神的に健康な人であっても、突然の大病や大怪我、あるいは長期に入院して苦痛を伴う治療や慢性的な痛みを経験すると精神的な病気に近い状態になることがあります。そのような患者さんに精神科医として直接お会いして投薬やカウンセリングを行ったり、その患者さんの主治医や看護師に助言することをリエゾン精神医学と呼んでいるのです。

総合病院から離れた現在このような仕事はしていませんが、この経験から大きなことを学ばせてもらいました。それは、純粋に身体の病気であってもその苦痛が続けばヒトはごく当たり前に精神のバランスを崩すということです。「病は気から」と言いますが、逆に「気は病から」とも言えるのではないでしょうか。いずれにせよ、こころと体は密接に結びついているものです。


スポーツ精神医学

スポーツが健康によいことは言うまでもありませんが、スポーツで精神的な病気はよくなるのでしょうか。また運動選手のように、元々健康な体を持った人は精神的な病気にはなりにくいものなのでしょうか?

このようなことを研究する分野をスポーツ精神医学といい、2003年には全国規模の学会が設立され多くの病院で成果を挙げています。軽度の運動がうつ状態をある程度軽くする効果があることは1960年ごろから分かっている事実ですし、九州では全国にさきがけ精神科の病院で専門に働く「体育療法士」という職種が、スポーツ(体育療法)を通して多くの患者さんの治療に寄与しています。また運動選手の場合、トップアスリートであればあるほどメンタルな重圧は計り知れずそのせいでうつ状態や不安に悩まされる人も決して珍しいことではありませんし、場合によっては運動のパフォーマンスを上げる代償として病的な状態に陥って悩んでいる人もいます。

スポーツや運動は本来人を健康にするものですが、その用い方によっては不健康にもなるものなのです。